佐藤家住宅は、甲州市勝沼町菱山に建つ切妻民家で、かつて盛んであった養蚕をおこなうため、小屋裏に２層の床と突上げ屋根を設けており、全国でも甲府盆地東部だけに見られる特徴を有しています。
主屋は、梁間４間、桁行７間の上屋に、エンガワやクラなどの下屋が四方に取付いています。突上げ屋根は、大棟を表側にずらして側柱筋まで２階として利用するもので、当家のものは大掛かりで本格的な造りです。屋根の勾配は９寸で、当初は草葺きでしたが、昭和４０年代後半に鉄板を被せて現在に至っています。
保存状況も良く甲州民家の典型的な姿を示す、養蚕から葡萄栽培への転換を示す文化財です。