清白寺は足利尊氏が夢窓疎石を開山として正慶2年(1333年)に創立したと伝え、仏殿は室町時代の応永22年(1415年)に建立されたものです。仏殿は、鎌倉時代に禅宗をともなって中国から伝えられた新様式に基づく建築で、よく禅宗様の特色を示しています。天和2年(1682年)の火災で、境内のほとんどの建物を焼失しましたが、この仏殿のみ羅災をまぬがれて、創建時の遺構を今に伝えています。仏殿は身舎の周囲に裳階(もこし)を付けた形式で、ヒノキの皮を重ね合わせた桧皮葺(ひわだぶき)屋根は二重の外観となっており、関東における禅宗建築の傑作です。鎌倉から室町時代は、各地に禅宗寺院が盛んに建立されましたが、その後衰退したため現存する遺構はきわめて少なく、禅宗仏殿の古い様式を伝える一例として価値の高いものです。
かつては周囲を水田や桑畑に囲まれていましたが、葡萄畑に転換したことにより葡萄畑の中に寺社が浮かぶような風景となっています。